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『あたしの願い・・・ね』
四月一日とひまわりは昼休みお弁当を食べていた。
「最近ほんと暑いよねー。ほら蒲公英もぐったりしちゃって。」
「そんなひまわりちゃんにいちごシャーベットを作ってきました!」
四月一日が見せた筒の中には4面体のいちごシャーベットが入っていた。
ひまわりと蒲公英にあげようと筒を差し出すとするとひまわりの背後の壁に真っ黒い丸い穴があいていた。
どうやらひまわりには見えないらしい。
四月一日はその穴に近づいてみると穴から河童のような手がにゅっと伸びてきて筒を持っていかれた。
困惑していると今度はレジャーシートのひまわりが座っている右側に穴が開いて筒を持った手が出てきた。
四月一日がそれを受け取り、開けると大量の花が落ちてきた。
またシャーベットが食べられると目を輝かせていた蒲公英はがっくりしていた。
「きっとその花シャーベットのお礼なんだよ。ほんとに美味しかったし。四月一日くんも味見したでしょ?」
すると四月一日は表情が硬くなり「う・・・うん」とあいまいな返事をした。
すると蒲公英は花をやけ食いし始めた。
四月一日はもがきながらも自分を信じ
『自分で頑張る』と侑子に告げた―――
四月一日は気がつくと池淵で釣竿を持っていた。
そんな四月一日に百目鬼は「また寝ぼけてたのか?まあ寝てても起きててもぼけてることには変わらないけどな」
そして二人は帰ろうとして歩いていると雨が降ってきたので近くにあった旅館に入ることにした。
「すみませーん」と言うと中から三つ編みの女性が出てきた。
その奥にも旅館の人と思われる大勢の女性たちがいた。
四月一日たちは案内された部屋で話していた。
「あの子百目鬼のこと見てはっとしてたけど知り合いか?」
「いや、知らない」
するとさっきの三つ編みの女性が部屋に入ってきて「今すぐ帰ってください!」と言った
二人は意味が分からず旅館の中を歩き回っていると通りがかった部屋から声が聞こえた。
「食べるのかい?」
「・・・でも人間だから硬そうだよ」
「包丁で砕けば・・・・・・」
そのへやの襖には鳥のような異形の影が映っていた。
四月一日はとっさに百目鬼を連れて逃げた。
するとそれに気付いて部屋にいた者たちも追いかけてきた。
それは旅館に入ってきた時に見た女性たちだった。
いつまでも追いかけてくる女性たちに百目鬼は何かを投げた。
何とか逃げ切れ、四月一日は百目鬼に聞いた。
「さっきなに投げたんだ?」
すると百目鬼は「釣りのえさ。鳥なら食うと思って。」と答えた。
さらに四月一日は「鳥に何か恩着せることしたのか?」と言うと百目鬼は言った。
「小学校の頃、鶏を育てて・・・食った」
「全然恩着せてないじゃねえかよ!」
そうして二人は雨のやんだ夜の道を歩いていった。