06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
四月一日はから降り、障子を開けると桜吹雪の中に立つ侑子がいた。
四月一日はすぐ近くに寄り、問う。
「俺、夢の中で生きてるんですか?だからひまわりちゃんと百目鬼以外に会ったことがあるのが死んだ人とか幽霊とかアヤカシとかなんですか?両親の名前が思い出せないのも、ちいさい頃から知ってたはずの管理人さんの顔を思い出せないのも、キツネのおでんと甘露しか食べたことがないのも夢で生きてるからですか?
俺は・・・人間じゃないんですか・・・。」
「いいえ人間よあの子と同じ」
そして侑子は「どうして泣いているの?」と尋ねる。
「俺がいなくなったら悲しむ人が沢山いるから・・・。それに俺も悲しいし。」
そんな四月一日に侑子は変わったのね、と言う。
「夢の中で見たことでもそれが現実になることもあるから。」
そしてさらに言った。「あたしに叶えて欲しいものはある?」
「聞きたいことは沢山あるけどその時が来たら教えてくれるって侑子さん言ってましたし。」
さらに四月一日はこう言う。「侑子さんが叶えて欲しい願いはありませんか?」
すると侑子は驚き、優しく四月一日を抱きしめた。
『あなたの名字には大切な意味があるのよ』
四月一日はある少年と歩いていた。
少年は言った「最近はもう見なくなった?」
四月一日は答える「ううん。でも前よりは見なくなった。」
「じゃああんなのは・・・?」
そして寝てるときに姿は見えないが足音がどすんどすんとさせて寝ている四月一日の上にどーんと倒れ掛かってきたモノや、前髪がはねていて直そうと店の窓を見るとそこには進行方向反対側に四月一日が映っていたりしたモノの話をした。
そしてふとしたときに後ろからもしもしと話しかけてくるモノの話になった。
四月一日は言った。「でもその声に答えちゃいけないんだよね」
「うん。気付いたと分かると余計に何かしてくるからね。」
「でも・・・それって悲しい・・・」
そして四月一日は少年の方を向くと少年が誰なのか気付いた。
「きみ・・・あの骨の・・・。成仏したのにどうして?」
それはいつか四月一日の誕生日の日に成仏した少年だった。四月一日と同じくらいの年になっている。
「ここは夢の世界だからね。じゃあきみも答えてあげなきゃ。声に。」
すると近くのタバコ屋にある公衆電話が鳴った。
四月一日が受話器をとるとあの「き え る な」と言う声がした。
その声がしたかと思うと四月一日は現実世界に戻っていた。
その瞳からは涙が流れていた。
『あたしの願い・・・ね』
四月一日とひまわりは昼休みお弁当を食べていた。
「最近ほんと暑いよねー。ほら蒲公英もぐったりしちゃって。」
「そんなひまわりちゃんにいちごシャーベットを作ってきました!」
四月一日が見せた筒の中には4面体のいちごシャーベットが入っていた。
ひまわりと蒲公英にあげようと筒を差し出すとするとひまわりの背後の壁に真っ黒い丸い穴があいていた。
どうやらひまわりには見えないらしい。
四月一日はその穴に近づいてみると穴から河童のような手がにゅっと伸びてきて筒を持っていかれた。
困惑していると今度はレジャーシートのひまわりが座っている右側に穴が開いて筒を持った手が出てきた。
四月一日がそれを受け取り、開けると大量の花が落ちてきた。
またシャーベットが食べられると目を輝かせていた蒲公英はがっくりしていた。
「きっとその花シャーベットのお礼なんだよ。ほんとに美味しかったし。四月一日くんも味見したでしょ?」
すると四月一日は表情が硬くなり「う・・・うん」とあいまいな返事をした。
すると蒲公英は花をやけ食いし始めた。
四月一日はもがきながらも自分を信じ
『自分で頑張る』と侑子に告げた―――
四月一日は気がつくと池淵で釣竿を持っていた。
そんな四月一日に百目鬼は「また寝ぼけてたのか?まあ寝てても起きててもぼけてることには変わらないけどな」
そして二人は帰ろうとして歩いていると雨が降ってきたので近くにあった旅館に入ることにした。
「すみませーん」と言うと中から三つ編みの女性が出てきた。
その奥にも旅館の人と思われる大勢の女性たちがいた。
四月一日たちは案内された部屋で話していた。
「あの子百目鬼のこと見てはっとしてたけど知り合いか?」
「いや、知らない」
するとさっきの三つ編みの女性が部屋に入ってきて「今すぐ帰ってください!」と言った
二人は意味が分からず旅館の中を歩き回っていると通りがかった部屋から声が聞こえた。
「食べるのかい?」
「・・・でも人間だから硬そうだよ」
「包丁で砕けば・・・・・・」
そのへやの襖には鳥のような異形の影が映っていた。
四月一日はとっさに百目鬼を連れて逃げた。
するとそれに気付いて部屋にいた者たちも追いかけてきた。
それは旅館に入ってきた時に見た女性たちだった。
いつまでも追いかけてくる女性たちに百目鬼は何かを投げた。
何とか逃げ切れ、四月一日は百目鬼に聞いた。
「さっきなに投げたんだ?」
すると百目鬼は「釣りのえさ。鳥なら食うと思って。」と答えた。
さらに四月一日は「鳥に何か恩着せることしたのか?」と言うと百目鬼は言った。
「小学校の頃、鶏を育てて・・・食った」
「全然恩着せてないじゃねえかよ!」
そうして二人は雨のやんだ夜の道を歩いていった。